「理想の住まい」って、.........と問われて。 ウーン、これはなかなか一言では答えられませんね。 安心感ということでは耐震性や耐雪性など安全を担保してくれる構 造的なことになるでしょう。快適性となると使いやすい機能性や暑 さ寒さの不快感を感じることがない造りも大切です。また、メンテ ナンスが楽で長持ちすることも大事な要素です。どれもバランスよ く備わっていることが必要です。しかし家を建てようとする一般の 方々にとっての関心というのは家の性能というより間取りやデザイ ン、コストに向かうことが多いというのが現状ではないでしょうか。 もちろん今の生活を変えるために新しい家を建てるのですから使い やすい間取りに関心が大きいのは当然のことです。将来家族の形が 変わり、それに合わせて間取りも変わった方がよい時が来ます。そ のときはリフォームをすることになりますが、耐震性や省エネ性の ような家の基本構造や基本性能を根本から改善するリフォームを行 うことは主にコスト的な理由からなかなか思うようにできないこと が多いと考えられます。20年先、30年先のリフォームは間取りの 改変は可能でも耐震性や省エネ性という性能の向上も合わせて実現 することは大きなコストがかかるので大変難しいのです。 ですから「家の基本性能は新築時で決まる」と言っても過言ではあ りません。 家を建てる方は建築の専門家ではありませんから、家の基本性能と いわれてもよく解らず、概ね発注先のハウスメーカーや設計者に委 ねることが多いのではないでしょうか。家の基本性能としてもっと も大事なことは耐震性と省エネ性です。耐震性能については国の法 律も有り最低限の仕様は担保されていますが、省エネ性能をどのく らいのレベルにするかについては当事者の任意の判断に任されてい るため、これからの住宅が備えていなければならないとして国が設 定した最低限の基準である次世代省エネ基準ですら達成する住宅は 少ないのが現状です。つまり「省エネ性能はまだまだ低い」のです。 私の事務所では完成した住宅が初めての冬を過ごしてみて何か問題 が起こらなかったかどうか、春先にその確認にお伺いします。必ず 言われるのがペンキ仕上げの壁と壁がぶつかる角のペンキの割れ。 たくさんあるわけではないのですが冬の間の暖房で一気に乾燥が進 むことで割れが出てきます。ただこの割れも一度修復をすると翌冬 にはもう出ません。それから「この冬は温かくて快適だった」「光 熱費が今までのほぼ半分になった」とこれも必ずお聞きすることで す。これまで断熱性の低い家での暮らしから新しい家では大改善す ることになるわけですからこの感想は当たり前とはいえ、省エネで 快適暖房となった家での実感は本当に喜ばれます。 当事務所の一般的な住宅の断熱性能はQ値=1.8〜2.2。次世代省エネ 基準がQ値=2.7ですから次世代省エネ基準より30〜40%くらいは高 性能ということになりますがさらに断熱性能を上げていく時代に入 ったと思っています。Q1住宅(Q値=1.0)やパッシブハウスという 超高性能な住宅も世に出始めてきました。より高性能な省エネの方 がよいのでしょうがコストパフォーマンスも考えなくてはなりませ ん。せめて30年先でも性能的に古くならない断熱性能は確保してお きたいところです。 さて、暑い夏と寒い冬を乗り切るためのポイントは二つあります。 それは断熱性と気密性を高くにすること、それに尽きます。 この二つが備わっていれば、どんなエネルギーで暖房をするかは二 の次です。暖房機器は薪ストーブでもペレットストーブでもエアコ ンでも何でもかまいません。夏は太陽熱が室内に入ってこないよう に工夫することが最も大切です。もちろん吹抜などの上下階がつな がるプランと個室型のプランでは対策は異なってきますが、何より も省エネの基本性能とは高い断熱性と気密性を作ることです。 当事務所ではいろんな省エネ住宅のバリエーションを扱っています が、今年から新しいメニューとして換気と冷暖房を一体化した全館 空調ができる「MaHAt(マッハ)システム」を導入しました。この システムを採用することにより効果的な空調を実現するケースもあ ることと思います。このMaHAtシステムも含め、これからの省エネ 住宅を「次世代環境住宅」と名付けて更に省エネ快適住宅を提供し ていきたいと思います。
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