高岡市郊外に開発された住宅団地に建つ若い夫婦とこどもの家。 幅6mの道路に
接した東南の角地の敷地は陽当たりも良く開放感もあります。東面に車庫をレイ
アウトし、玄関は東入りというオーソドックスなプランとなったのですが、今回
のポイントは「南」と「北」に二つの庭を持つことにあります。二つの庭の環境
の違いを自然通風に生かし、夏場の快適性を得ようと考えてみました。南北につ
づいたリビングスペースは、北庭に植栽した常緑樹の蒸発散作用によって周辺空
気から気化熱が奪われ、また北庭は建物の日陰となって南庭に比べて気温が低く
なっており、その温度差により通風が活性化する仕組みを作りたいと思いました。



南庭は主に落葉樹です。もちろん温熱環境だけに限らず、南北にそれぞれ庭とい
う緑空間につながるリビングの居心地は、その開放感と空間のまとまり感とが微
妙にマッチしてなかなか気分のいいものです。自然の環境を工夫することで快適
な住環境を手に入れるというこれもオーソドックスな解法を試行した建物となり
ました。


2010年9月完成予定