中心市街地の一角に木造母屋と共に建つ築40年の古くなって使い
勝手の悪くなったコンクリートの家を建て替えたいと始まった本
計画。しかし、限られた敷地の中で要望された多様な諸室をレイ
アウトしてみるとラッシュ時の電車のように輻湊感いっぱいのプ
ランとなり、外観デザインも多様な諸室そのままの混乱したもの
となりそうでした。
そこでプランの真ん中に階段室を配置して各諸室をレイアウトし、
外観デザインは一体感のあるシンプルなデザインをつくることで
平面上の多様性、複雑性を覆い隠そうと考えてみました。今回そ
の役目を担ったのが磨りガラスのカーテンウォールです。
建物の外観デザインは内部の機能がそのまま外に表現されること
でよい、とする考え方もあります。しかし、その建物が存在する
環境のなかでどのような形が良いのだろうかと考えたとき、少な
くとも存在する環境を一層混乱させるようなデザインとするべき
ではないことが重要だと考えています。隣接する建物同士がとも
に協調しあう景観を創っていきたいと思います。