本郷町の家  〜終の棲家としての平屋の住まい〜



 今回のプロジェクトテーマは「家族にとっての終の棲家とは」
 若い頃に建てた家を何回か増改築しながら過ごしてきた家との付き合
 い。生活の変化に合わせて手直ししてきた住まいではあるけれど、や
 はり今の不都合を感じながらの生活をリセットしたい、と今回のプロ
 ジェクトが始まりました。生活を整えストレスの少ない日常を送りた
 いとの願いがこもった家づくりとなりました。

 若い家族にとっての家づくりと高齢となった家族にとっての家づくり
 はおのずと違ってきます。経験の浅い中での家づくりと経験を積んで
 好みや生活も想像できる家づくりは焦点の当て方も違って当然でしょ
 う。しかし、高齢となってからの家づくりには、だからこそ相当なこ
 だわりがあることが多く、今回の家づくりもそんなこだわりを実現す
 る終の棲家を求める旅となりました。

 敷地は街中から少し離れた郊外で面積も広く平屋の住まいが実現する
 環境でした。プランはもちろんバリアフリーで隣家に近接した街中の
 住まいと違って伸び伸びと開放的で軒も深い穏やかなプランとなりま
 した。

 この家の特徴となる「こだわり」は平面計画にあります。
 平面計画には大きく二つのタイプがあります。
 一つはなるべくシンプルなプランにしてその中に多少の不都合があっ
 ても大きな空間の中でさまざまな機能を包含するという方法。もう一
 つは限りない要素を一つ一つ丁寧に分析して全体の中に調和する形を
 見いだすという方法です。今回は「限りない要素が調和する形を見つ
 ける」方法でまとめることになり、要素の一つ一つを丁寧に確認する
 という作業が続きました。そしてリビングを中心にした様々な要素が
 有機的に繋がるようなプランを見つけようと試行錯誤したのです。

 道路から見るとコンクリート塀とガレージと小さな玄関だけが見える
 平屋の住まい。家の大きさが道路からは分からない「小さな家」がど
 んな風に完成するか、とても楽しみです。


DATA
竣工:2020.9(完成予定)
構造:木造平屋建て
施工:青山工務店