土地探しからお手伝いをした今回のプロジェクト。
街なかの土地ながら余裕のある広い敷地での設計となりました。
敷地が広いとプランを構想してもその解決策は幾通りも考えることができます。「コレしかない!」という制約はないものの、逆に「どうしても」という敷地上の制約がないのでアイデアを思いついても、それがプランを決定づけるというほどのものではないことが多く、つまりアイデアは曖昧になりがちです。以前設計した「石金の家」も敷地が広くて、この時は敷地の中に半公共的な形で雑木林のような場所を設けて建物が雑木林のなかにたたずんでいるような外部環境をあえて作ったのですが、今回のプロジェクトでも何かそのような工夫が必要だと感じました。

そこで今回は敷地を前後2つに分け、それぞれの性格を違えた外部空間を用意することにしました。タイプの違う外部空間を存在させることで広い敷地がただの広い敷地から脱することができます。広い敷地でしかできない敷地利用の妙味ですね。道路側から見えて駐車スペースも兼ねる半ば公共的な外部空間(1)と道路側からは隠れるプライバシー度の高い私的な外部空間/庭(2)という2つの外部空間に囲まれてゆったりとたたずむ住居となるように構想しました。このゆったりとした雰囲気をより強調するために今回の住宅は敷地幅いっぱいの横長で平屋建(実際は2階建てだが)のようなプロポーションにしています。

外界との緩衝帯となり、穏やかな暮らしを支える外部空間と共にある家。
さて完成したらどんな静かな佇まいをもつ家になるのか、今から楽しみです。

DATA
竣工:2016.12(完成予定)
構造:木造2階建て
施工:正栄産業(株)
性能;長期優良住宅仕様