生活環境を考えると、どうしても中心市街地に住みたいと探し始めて出会った土地。そこは東側が道路に面しており、三方が隣地に囲まれた奥行きの深い、細長い敷地でした。設計者からみると南北面の隣地間距離が狭く、内部空間から外部への広がり感の得にくい敷地形状です。広がり感が得られるのは菜園をするため隣地との空きが取れる西側と、アプローチとなる東側のみです。本計画では家庭菜園が日常に溶け込んだ生活をしたいとの建主さんの要望もあり、西面に広がる菜園とLDKをどのように一体化するかというアイデアが要になりました。

 菜園に面した大きな開口部につなげて食彩の場となるテラスをつくり、そこには西陽を遮り日陰をつくるオーニングも設置。LDKはオープンキッチンから見渡せるTVコーナーや家族用書斎コーナー、ピアノコーナーを適所に配置し、料理や食事や学習や多彩なくつろぎという行為を家族が共有する一体空間となるように設計しました。このLDKで展開されるさまざまな小さな日常行為をいくつものコーナーじたてとして一体化した空間づくり。家族がいっしょに一番長い時間を過ごすLDKがほんとうの意味で家の中心になる家となりました。