富山市の中心市街地で工事をしていた二世帯住宅が完成し
ました。子世帯、親世帯それぞれが専用の玄関を持ち、お互
い独立した生活を営むことができる完全分離型の二世帯住宅
です。しかしこの家が目指したものは親世帯と子世帯の独立
性にのみ重きを置いた計画ではありません。世帯間の独立性
を担保しつつも「一つの家に住む」大家族が日常的にも行き
来し、皆が集まる食事や団らん、助け合いがうまくいくよう
にしたい、それが今回の家づくりへの大きなご要望でした。
これまでの古い家でも家族一同が集まって食事をしたり、
お孫さんと一緒にお風呂に入ったりということが日常的なこ
のご家族にとって、そのような生活が可能な場をより良い空
間で実現することが今回の家づくりでの中心課題であり、設
計案はそれを求めて何案も試行されました。
二世帯住宅のプランは住まい手の考え方次第で答えは一様
ではありません。一世帯の住宅であってもその要望やその敷
地環境を与件として最適解を模索するのですが、二世帯住宅
になるとさらに与件は増え複雑となります。何と言っても二
軒の家を一つにまとめるという複雑さはかっての古い時代の
社会通念が一様であったころならまだしも、一人一人の価値
観の調和を求めて設計をするプロセスは複雑でとても比較に
なりません。一所一解を肝に銘じて設計したこの住宅、新し
い家でどんな生活シーンが生まれるのか、とても楽しみです。