内観

住宅の心地よさは、室内とつながる外部の緑化空間を持っているかどうか、と言っても過言ではないと思っています。自分の敷地内でそのような計画ができればいいのですが、そのためには敷地にそれなりの広さも必要となります。今回完成した住宅の敷地はそれほど広くはないけれども、敷地の一方が広大で伸びやかな公園緑地に面しているという絶好の土地でした。「この公園を我が家の庭のように取り込みたい」とは建て主さんも設計者である私もまったくの同意見。かくして隣地や公園散策の人からの視線を遮りつつ、プライバシーが守られ、公園を取り込んだリビングをどのようにつくるか、というテーマを掲げて設計が進められました。
室内の延長として作ったデッキ空間は、外からは意外と中の様子が見えないという開口率50%のスチールフェンスで囲みプライバシーを確保しつつ、床材もリビングと同色としてその開放性を広げました。公園に面する大きな西窓は夏の遮光をコントロールするため電動の外付けブラインドを装備し、機能性を増すことで公園の風景を気持ちよく取り込むことができるようになりました。今回はこの開口部の開放性が外部とのつながり感を強調するだけでなく、天井高 2.85mとすることで他室に比べてとても大きなヴォリュームとしました。家族がくつろぐリビングに中心性も備えたいと意図したのです。家族が自然と集まってくる「居心地の良い中心のある家」という形。今回は公園を取り込んだ開口部と天井高2.85mの直方空間をアレンジしてそんな場をつくり出すという試行でした。

DATA
竣工:2011.9
構造:木造2階建て
施工:(株)頼成工務店
性能:長期優良住宅
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