周囲は穏やかで自然豊かな山間に位置する住宅の増改築。今回のテーマは子供の頃からいつも眺めていた南東に広がる山並みを「取り込む」ことでした。しかし開放感のあるガラス面を取り付けると近隣の人家と対峙しなくてはなりません。夜はカーテンで締め切ることになり夜空の満天の星も見えません。｢見ながらも見せない」を実現するため今回採用したのがコートハウスプランでした。外部の壁の高さを慎重に選ぶことで、食卓やリビングから、そして檜風呂や信楽焼浴槽のある露天風呂から、人家の見えない山並みと満天の夜空を切り取った風景が手に入ったのです。
オーナーは建築デザイナーであり家具製作も手がけるK氏。今回の計画はK氏との共同設計です。年上の私は多少兄貴風を吹かせながら、うまくK氏のアイデアや想いを実現する手助けができたように思っています。とても楽しいコラボレーションでした。